Ubuntu 24.04でSubiquityが落ちた時の復旧手順
Ubuntu 24.04 のインストール終盤で Subiquity が落ちても、その時点で即再インストールと決めなくてよい場合があります。 少なくとも、作成したユーザーでログインできるなら、まずは今の環境を起動して整合性を戻すほうが早く復旧しやすいです。
この記事では、インストーラーが Python 例外を出して止まったあとに、再インストールするか、いったん使い続けるかを判断する基準と、CLI での復旧手順を整理します。
TL;DR
- Subiquity が落ちても、OS 本体のコピーとユーザー作成が完了している場合があります。
- まず確認すべきなのは、ログイン画面が出るか、ネットワークが使えるか、最低限の表示が壊れていないかです。
- 起動できるなら、
dpkg --configure -aとapt install -fでパッケージ管理の整合性を戻すのが第一歩です。 - NVIDIA などの追加ドライバーは、インストール中に無理をせず、起動後に
ubuntu-driversで入れ直したほうが安全です。 - Ubuntu 26.04 開発版へ進みたい場合も、まず 24.04 側の復旧を終えてから切り分けて考えるほうが安全です。
まず確認すること
結論として、ログインできるなら復旧の見込みは高いです。
私が遭遇したケースでは、インストール終盤で次のような Python 系の例外が表示され、インストーラーがそこで止まりました。
TypeError: ... missing 1 required positional argumentValueError: /usr/bin/python3.14 (deleted) does not exist
ただし、こうした表示が出ても、原因は 1 つとは限りません。 Ubuntu 24.04 系では Desktop 側でも Subiquity 系のインストーラーが使われており、既知の不具合修正は継続的に行われています。 そのため、エラーメッセージそのものより「インストール結果がどこまで残っているか」を先に確認するのが実務的です。
再起動後は、まず次の 3 点を見ます。
- 作成したユーザーでログインできるか
- Wi-Fi または有線 LAN がつながるか
- 画面表示と日本語入力が最低限使えるか
この 3 つが通るなら、再インストールせず復旧できる可能性があります。 逆に、ログイン画面まで行けない、毎回カーネルパニックやブラックスクリーンになる、root ファイルシステムが壊れている、といった状態なら、ライブ USB からの救出や再インストールを優先したほうが早いです。
復旧方針は「起動できるなら整合性回復」
インストーラーが落ちたあとに最優先でやることは、パッケージ管理の途中状態を解消することです。
インストール終盤で止まった環境では、以下のような状態が混ざりやすいです。
- 未設定のまま残ったパッケージがある
- 依存関係が途中で切れている
- インストールメディア由来のリポジトリ設定が残っている
- 追加ドライバーの導入が未完了になっている
この段階では、アプリ追加や細かい設定変更よりも、まず apt と dpkg が正常終了する状態まで戻すのが先です。
手順 1: インストールメディア由来のリポジトリを確認する
apt update で cdrom や file:/cdrom 関連のエラーが出るなら、USB インストールメディアをまだ参照している可能性があります。
まず、どの設定ファイルにその記述が残っているか確認します。
grep -RniE 'cdrom|file:/cdrom' /etc/apt/sources.list /etc/apt/sources.list.d 2>/dev/null
該当箇所が見つかったら、そのファイルを開いて、インストールメディアを向いている行をコメントアウトするか無効化します。
Ubuntu 24.04 では、環境によって /etc/apt/sources.list だけでなく sources.list.d/*.sources 側に設定があることもあります。
sudoedit /etc/apt/sources.list
deb cdrom: や file:/cdrom を含む行が残っている場合は、無効化して保存してください。
手順 2: dpkg と apt の整合性を戻す
次に、途中状態のパッケージを構成し直します。
sudo dpkg --configure -a
sudo apt update
sudo apt install -f
sudo apt full-upgrade
この順に実行する理由は次の通りです。
dpkg --configure -a: 展開済みだが未設定のパッケージを仕上げるapt update: 現在のリポジトリ情報を取り直すapt install -f: 依存関係の欠損を修復するapt full-upgrade: 残っている更新をまとめて適用する
ここでエラーが出なくなるだけでも、かなり復旧に近づきます。 完了後は一度再起動して、ログイン・ネットワーク・GUI の安定性を再確認してください。
sudo reboot
手順 3: NVIDIA などの追加ドライバーは起動後に入れ直す
結論として、追加ドライバーはインストール時に抱え込まず、OS 起動後に入れるほうが安全です。
特に NVIDIA 環境では、インストール中の追加ドライバー導入が絡むと、復旧ポイントが増えて切り分けしづらくなります。 GUI の「追加のドライバー」が不安定でも、CLI なら状況を追いやすいです。
ubuntu-drivers devices
sudo ubuntu-drivers install
導入後は再起動し、GPU が必要な環境なら nvidia-smi などで確認します。
nvidia-smi
もちろん、NVIDIA ハードウェアがない環境ではこの手順は不要です。 ドライバー導入を後回しにするだけでも、インストール失敗時の切り分けはかなり楽になります。
再インストールしたほうが早いケース
次の条件に当てはまるなら、復旧より再インストールを選んだほうが早いことがあります。
- 再起動後にログイン画面まで進めない
- ネットワークも GUI も広く壊れていて、原因の切り分けに時間がかかる
- まだ初期セットアップ直後で、失うデータがほぼない
- そもそもパーティション設計や暗号化設定をやり直したい
この場合でも、次の方針にすると失敗を減らしやすいです。
- インストール中は可能ならオフライン寄りで進める
- インストーラー更新は無理に取りに行かない
- サードパーティドライバーはインストール後に回す
要するに、まず OS を起動可能な最小構成で入れ、その後に追加要素を足すほうが安定します。
Ubuntu 26.04 開発版へ進むなら、復旧後に分離して考える
Ubuntu 26.04 開発版へ上げたい場合でも、24.04 の復旧と 26.04 への先行移行は別タスクとして扱うのがおすすめです。
Ubuntu 公式ドキュメントでも、do-release-upgrade -d で development release へ進める一方、本番環境には非推奨であることが明記されています。
また、アップグレード時にはサードパーティリポジトリが無効化されるため、ドライバーや外部ツールを多く使う環境ほど影響確認が必要です。
つまり、今回のようにインストール直後の整合性が揺らいだ状態で、そのまま 26.04 開発版へ進むのは避けたほうが安全です。
26.04 を検証したいなら、まずはこの手順で 24.04 を正常化し、そのうえで別記事の Ubuntu 26.04 LTS:Btrfsで内蔵ストレージを並行運用する実践ガイド のように、ロールバック可能な構成で並行検証するほうが安全です。
まとめ
- Subiquity が落ちても、OS 本体まで失敗しているとは限りません。
- まずはログインできるかを確認し、可能なら再インストール前に復旧を試す価値があります。
- 復旧の第一歩は、
dpkg --configure -aとapt install -fでパッケージ管理を正常化することです。 - インストールメディア由来のリポジトリ設定や、未完了の追加ドライバー導入を整理すると安定しやすくなります。
- Ubuntu 26.04 開発版への移行は、24.04 の復旧完了後に別タスクとして進めるほうが安全です。